日本麻酔科学会第72回年次学術集会会長を拝命致しました東京歯科大学市川総合病院の小板橋俊哉です。
学術集会開催にあたりご挨拶申し上げます。
少子高齢化社会を迎え、麻酔科診療の主である手術時の全身麻酔件数は、
団塊の世代が全て後期高齢者になる2025年からしばらくは増加しますが、
その後は徐々に減少してくることが想定されています。
これからの麻酔医療の在り方を考えた時に、
他の診療科医師から寄せられている手術室外業務への期待の声は無視することはできません。
今後は今まで以上に手術室の枠から外に飛び出す麻酔科医が必要になります。
本学術集会のテーマは「時代の声を聴き、新たな一歩を踏み出そう」にさせていただきました。
日本専門医機構認定のサブスペシャルティである集中治療、緩和医療に加えて救急やペインクリニック、
さらには産科麻酔や心臓血管麻酔、呼吸器外科麻酔、
小児麻酔などの特殊麻酔領域について最新知見をアップデートする企画を設けさせていただきました。
今後の麻酔科医療を考えた時に、さらなる武器を身に着けることは極めて重要です。
多くの先生方にとってそのきっかけとなる学術集会になるよう願っています。
特別講演は池上彰氏にお願いしました。
招待講演ではWFSAの前PresidentであるWayne Morriss先生をお招きします。
お二方ともに麻酔科医に対する期待についてお話しいただく予定です。
また、航空業界における安全確保の方策は医療安全でも参考になります。
1985年のジャンボ機墜落事故から奇跡の生還をされた方からお話を伺う機会も設けました。
昨今、話題のAIやChat GPTは時代を大きく変える力を秘めています。
これらを使いこなすことはまさに新たな時代への第一歩かもしれません。
麻酔領域におけるAIやChat GPTについての講演も予定しています。
学術集会の核となるのは一般演題です。
これまで一般演題の中から最も優れた演題を最優秀演題賞として表彰してきました。
第72回学術集会では、研究発表のモチベーションアップを図る目的で、
最優秀演題賞のほかに研究奨励賞を設けることに致しました。
これにより全採択演題の約17%が表彰対象となります。奮ってご応募ください。
また、東アジア麻酔学会も併設することが理事会で決定されました。これに合わせて、
会期中1部屋はEnglishセッションと致します。アジア諸国と比べても遅れている日本の英語力を高め、
国際化を推進するため、英語での発表に触れる機会をご活用ください。
学術集会は2025年6月5日から7日までの神戸での現地開催に加えて、
約1か月間のオンデマンド配信も致します。
これまでの自身の歩みを振り返り、次の一歩をどちらに踏み出すのか、一度考えてみませんか?
実り多い学術集会になるよう、皆様のご支援、ご協力を切にお願い申し上げます。